なぜ残業が多いのか
IT業界は残業が多い
IT業界にはブラック企業が多いといわれています。残業が多いわりに給料も安く、きつい・厳しい・帰れないの「3K」で、一生懸命働いていてもいいことがないと嘆くエンジニアの声を聞くことも珍しくありません。では、どうしてIT業界の中にそれほどまでに残業ばかりのブラック企業が増えてしまったのでしょうか。
業界内に構造的な問題がある
IT業界のブラックな部分を語るのに欠かせないのが「ITゼネコン構造」です。ITゼネコン構造とは、大手企業が受注した大きな仕事を下請けへ、下請けから孫請けへと委託していく建設業界のゼネコン構造と同じ考え方です。IT業界の場合も、大手のIT企業が大きなプロジェクトをまず受注します。顧客からの要望を受けて仕様をまとめるまでは大手が担当しますが、そこから先の作業は下請けの仕事です。委託先が下へ進むほど現場の立場は弱くなり、マージンを抜かれ続けて報酬も少なくなります。どんなに無理な要求でも、断ってしまえば次がないからと無理をせざるを得なくなり、ピラミッドの下層に属する現場はどんどん疲弊します。そのようにしてどんどん企業はブラック化し、エンジニアの心身を壊してしまうのです。
ブラック化しやすいのは企業だけではない
ブラックといえば企業がクローズアップされがちですが、フリーランスのほうが自由なだけにブラック化しやすいという側面もあります。エンジニアの仕事はパソコン一台あればいつでもどこでもできてしまうので、フリーランスになって休みなく働いてしまう人も少なくありません。そうして事業を大きくし、やがて起業して従業員を抱えるようになった経営者の中には、かつて自分が通ってきた道と同じ苦労を従業員のエンジニアに求めるワンマン経営者になる人もいます。「エンジニアは残業して当たり前、休むなどもってのほか」という価値観を企業のトップが持っているなら、企業がブラック化するのはもはや必然です。
大手だから絶対安心とはいえない
労働組合を持たない中小企業がブラック化しやすいことは事実です。組合がない中小企業で不満を述べれば、「この会社のやり方に文句があるならやめればいい」という結論になってしまう恐れもあります。しかし、だからといって大手企業がホワイトかというとそうではありません。大手企業には中小企業にはない社風や伝統のようなものがあり、ひたすら残業をすることを当然のことと受け止めるよう圧力をかける場合があるのです。大手企業の場合、記録されていれば残業代はしっかりと払われるかもしれませんが、心身を休める暇もないほど残業しなければならない状況なら、それもやはりブラック企業にあたるでしょう。
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